この事例の依頼主
20代 女性
1.相談者様は、本件依頼時20代の女性です。当事務所に相談に来たときは、深刻な精神疾患により仕事についていませんでした。2.相談者様は、事務職や接客業として長年働いてきましたが、その中でクレジットカードを使って買い物をしていました。ところが、病気によって働ける日が減り、収入が減っていきました。3.その後、相談者様は、当時の知人とのトラブルが発生し、身内とも疎遠になっていきました。これらの事情と体調不良から、うつ病に罹患して、働けなくなりました。知人とのトラブルも激化し、これによりうつ病は悪化していきました。これにより、相談者様は働けなくなり、無収入になってしまいました。そのような中で、多重債務に陥ってきました。4.最終的に知人とのトラブルは解決したものの、うつ病が回復することはなく、債務が膨らんでいきました。そして、フリマアプリで私物を売却したり、友人の援助によって生活するようになりました。そのうちに家賃の滞納し、建物を明渡請求の訴えを起こされました。5.そこで、生活保護を受給して、引っ越しを行うとともに、多重債務を解決するために、当事務所の弁護士に相談し、本件事件を委任しました。
1.最初に事務所にきたときの面談では、相談者様は、ひどいうつ状態で、記憶も混濁した状態で、話すことも精一杯で、受任手続をとることが精一杯の状況でした。そこで、とにかく債権者に受任通知を送り、督促をとめて、相談者様のうつ病の改善を待つことにしました。2.途中、携帯電話が止められてしまい、連絡がとれなくなってしまうなどの事態もありましたが、相談者様は次第に生活の平穏を取り戻し、徐々に記憶の状態も改善していき、破産申し立てに必要な家計簿もつけられるようになっていき、体調に応じて、休み休みではあるものの、なんとか打ち合わせをもった結果、時間はかかりましたが、破産申立をすることができました。3 破産申立後は、曖昧な記憶の部分を裁判所から様々尋ねられましたが、何とか記憶を頼りに裁判所に一通りの説明を行うことができ、同時廃止手続を手続を経て免責を勝ち取ることができました。
1.多重債務問題は素早く処理するのが望ましいとされていますが、今回はそのセオリーに反して相談者様の回復を優先しました。2.最初に事務所で面談したときには、本人の表情もすぐれず、正直破産申し立てまで辿りつけるかどうか不安でしたが、まずは、受任通知を送って債権者から督促を止めて、生活の平穏を取り戻し、うつ病の回復を目指すことを優先しました。何とか、打ち合わせが持てるまでには回復し、破産申立にたどり着くことができました。3.多重債務問題は精神疾患と隣り合わせです。個別の相談者様の状態に向き合いながら事件に対応していく必要があると改めて思いました。