この事例の依頼主
30代 女性
相談前の状況
相談者は,一番下のお子さんが誕生したのち,夫と不仲の状態となり,その後しばらくして,夫の不貞が発覚しました。不貞の証拠としては,メールのやり取りについての写真を確保されている状態でした。不貞発覚後,しばらくして,夫とは別居の状態となられ,別居期間中も何度か,夫と今後の夫婦関係や子供たちのことについて話をされたとのことですが,結局建設的な話し合いはできませんでした。そこで,別居から1年半が経過したところで,ご相談に来られました。夫との関係などについて整理がつかない状況で,精神的,身体的に追い詰められ,病院への通院もされている状況でした。
解決への流れ
相談者の方は,離婚となる場合,二人の子供の親権を希望されていましたが,自らの収入だけで,子供たちとの生活を維持し,大学や専門学校等への進学,卒業をさせることができるかなど,離婚後の生活設計にご不安を感じておられました。そこで,妻側で親権を取得すること,その際,大学卒業の年齢まで適正な養育費を確保し,公正証書や調停調書などの形に残しておくこと。大学進学費用等についても,できる限り具体的に取り決めを行うこと。不貞についても手持ちの証拠から,できる限りの説得を行い慰謝料の支払いを受けること。財産分与については,相手方の財産の状況(場合によっては,過去数年間の預貯金の取引履歴まで確認すること等。)についてできる限り把握し,その半分程度の分与を受けることをアドヴァイスいたしました。
離婚事件として,受任した後は,まずは,相手方の夫に対し,不貞がうかがわれるメールのやり取りなどから,裁判を行った場合,一定額の慰謝料が認められる可能性があること。養育費については,父親が大学卒である場合には,子供が大卒の年齢まで養育費の支払いを行うべき場合もあること。財産分与についても,できる限り自らの財産について任意に開示してもらい,もし妻側で,夫側から十分に財産の開示がなされていないと判断する場合には,弁護士の照会権限や裁判所の調査嘱託の手続きなどにより,財産の調査を行うことができることなどを説明いたしました。夫側との交渉を重ねた結果,夫が別居後すでに,不倫相手の女性と同棲を開始していることなども判明し,離婚を急いでいる様子もうかがえました。約10か月ほど,教育費や財産分与や慰謝料について,話し合いを重ねた結果,財産について,妻が把握しているものについてほぼすべての開示を受け,その半分の金額(約700万円)の分与を受けること,不貞の慰謝料についても,解決金名目で300万円の支払いを受けることができました。今回のポイントとしては,夫が,離婚を急いでいたため,妻側でそのタイミングをうまくとらえ,夫側から離婚についての財産に関する取決事項で有利な条件を引き出すことに成功したことにあるものと考えます。離婚についても,タイミングを的確にとらえることの重要性を感じた事件でした。