犯罪・刑事事件の解決事例
#遺産分割

認知症を原因とした生前贈与を無効にして遺産に持ち戻す

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高瀬 芳明 弁護士が解決
所属事務所弁護士法人髙瀬総合法律事務所Tokyo office
所在地東京都 新宿区

この事例の依頼主

40代

相談前の状況

父が亡くなり兄弟5名での遺産分割の話し合いをすることになりましたが,兄弟の1人が生前に父からアパートの贈与を受けていることが判明しました。そして,アパートと生前中の賃料は遺産分割の対象にならないという主張を受けました。しかし,生前贈与の当時,父は明らかに重度の認知症であり,有効に贈与することはありえないはずでしたので,そのまま遺産分割を進めることに納得できず,弁護士に相談しました。

解決への流れ

弁護士に相談後,交渉を依頼しましたが,相手方が贈与が有効であることを主張し,話し合いは平行線のまま決裂したため,遂には訴訟(裁判)を起こすことになりました。裁判は思いの外,短期間で終了し,晴れて贈与が無効であることが認められ,アパートと生前の賃料を遺産分割の対象とすることができるようになりました。

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高瀬 芳明 弁護士からのコメント

生前中に,相続人の1人が親から贈与を受けているケースは珍しくありません。特に,兄弟が多数いらっしゃる場合は,そのうちの特定の方が親と同居し老後の介護をしているうちに,情がうつり同居している方に大半の遺産が引き継がれる傾向があります。このような傾向があること自体は,親子の情愛や尽くした人に多くを渡したいという人情を考えれば当然のことであり否定はしません。しかしながら,認知症であることを利用して意のままに財産を譲り受けようとする行為は許されません。もっとも,過去に認知症であったことを証明することは必ずしも容易ではなく,当時の診断書や医療記録が存在しないと,証言のみで裁判所に認知症を認めてもらえる可能性は低くなってしまいます。今回は明確な証拠がない中で,認知症を裏付ける可能性のある資料を収集することに注力した結果,何とか裁判所に重度の認知症であったとの判断をしてもらうことにこぎつけました。