この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
交差点を歩いて横断中に車にぶつけられたという方から相談がありました。事故の相手方からは、あとで保険会社に連絡させると言われたものの、一向に連絡がなく、どうしていいか分からないとのことでした。幸い、怪我はそれほど深刻ではありませんでしたが、打撲等で通院しているところでした。
解決への流れ
ご相談後、直ちに受任して相手方へ通知を出しましたが、やはり対応がなかったため、自賠責保険に治療費等を請求することにしました。治療終了後、いわゆる裁判基準で計算した慰謝料等の損害賠償額を計算し、受給した自賠責保険金では不足する金額を相手方に請求する損害賠償請求訴訟を提起しました。訴訟でも相手方が出てくることはなかったため、欠席裁判となり、こちらの請求額を認める判決が出されました。判決で認められた賠償額を相手方が任意に支払ってくる様子もなかったため、強制執行手続をとることにしました。そこで、弁護士会照会等を利用したところ、相手方の勤務先が判明したため、勤務先からの給与債権を差し押さえることにしました。給与債権を差し押さえた結果、全額支払うとの連絡があり、無事回収することができました。
人身事故の加害者が任意保険に入っていないというケースもあります。このような場合では、まずご自身の保険（人身傷害保険）が利用できないか検討するのが有用です。もっとも、この事例のように被害者が人身傷害保険に入っていない（または使えない）ケースでは、相手方の自賠責保険に治療費等の請求を行うことになるかと思います。本事例は、①自賠責保険への請求手続→②加害者への訴訟提起→③強制執行という段階をたどりましたが、ご依頼者が弁護士費用特約に加入されていたこともあり、その保険の範囲内で弁護士費用をまかなうことができました。また、強制執行は、すべての事例で奏功するわけではありませんが、あきらめずに手続を尽くすことで、思わぬ道が開けることもあります。