この事例の依頼主
男性
相談前の状況
相手方が子ども(当時5歳くらい)を連れて別居開始となり、当初は所在不明でした。その後、所在地が判明したため、すぐに子の監護者指定(離婚が成立するまでの間、子どもを夫婦のどちらが監護すべきかについて裁判所に決定してもらうための手続き)・子の引き渡し審判(子供が連れ去られたときに、裁判官に子どもを申立てした親の所に戻すべきかどうか決定してもらうための手続き)及び保全処分(子供の仮の引き渡しを求める手続き)を家庭裁判所へ申立てました。申立てた時点で、連れ去りから申立てまで既に4か月経過している状況です。同時に離婚調停も申立てました。
解決への流れ
申立てまで、ある程度期間が経過していたことから、当初裁判所は子どもと連れ去った側の親が平穏に暮らしているのではないかと保全処分に消極的でしたが、連れ去り後の事情を詳細に説明するなどの主張立証を丁寧に行い、こちらの主張を全面的に認める決定を獲得しました。保全処分の勝訴を踏まえて、1週間以内に強制執行申立(相手方が命令に従わず、引き渡しをしない場合の手続き)を行い、執行官とともに相手方と子どもの居住地に出向き、子どもの希望もあって、無事に子どもを連れ戻しました。離婚調停は親権の争いがあり不成立に終わりましたが、その後、協議離婚が成立しました。※申立てから子を実際に連れ戻すまで約5か月でした。
子どもの居場所(連れ去り先)が遠方だったので、何度も現地に出張しました。離婚調停については、事務所内での電話会議も可能でしたが、子どもを本気で取り戻そうとする姿勢を裁判所と相手方に見せるため、期日には依頼者とともに必ず現地に行きました。子どもの引き渡しについては、相手方が任意での引き渡しに協力しなかったため、強制執行を行うことになり、泊りがけで対応し、裁判所とも連携しつつ、子どもが「(依頼者と一緒に)帰りたい」という気持ちになるように、時間をかけて対話しました。子どもが「一緒に帰る」と言った時の依頼者の涙が忘れられない事件となりました。