この事例の依頼主
60代 男性
相談前の状況
<相談の概要>被相続人は、従業員200名程度の中小企業の創業者で、長男が数年前に会社をついでいます。・相続人は、妻、長男、長女、次女、前妻の子・相続財産は、預貯金、会社及び関連会社の株式(いずれも非上場会社)・遺言書はなし相談者は、長男です。父名義の会社及び関連会社の株式を、私が取得したいと考えており、前妻の子以外の相続人は同意しています。これまでまったく連絡をとったことがない相続人(前妻の子)がおり、どのように手続を進めて良いか分からないとの相談でした。
解決への流れ
長男から依頼を受け、前妻の子に手紙を送って意向を確認しました。法定相続分に相当する現金を取得希望とのことでしたので、その内容で遺産分割協議書を作成し、無事に遺産分割協議が成立しました。
今回の件では、前妻の子が中小企業の株式の取得を希望しなかったため、大事には至らなかったのですが、別の事案では、経営にまったく関与していない相続人の1人が会社の株式の取得を希望したため、遺産分割協議が難航し、調停、審判をへて、最終的に株式が分散したケースがあります。中小企業の株式は、会社支配力の源泉です。議決権の3分の2以上有していないと、特別決議ができず、定款変更、新株発行等の重要な議決ができなくなります。株式は、代表取締役等に集約している状態が理想ですが、遺言書などの生前対策を何も講じないと、相続をきっかけに分散し、好ましくない者に株式を保有されて、会社経営に混乱が生じることがあります。中小企業の株式がある場合は、生前の相続対策が必須です。遺言書作成以外にも、株式の承継方法には、持株会社設立等さまざまな手法がありますので、ぜひご相談ください。