この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
専業主夫の依頼者は 交通事故に遭い、14級9号の後遺障害も残り、しばらくの間家事ができなくなった。ところが、相手方の保険会社の担当者は、専業主夫ではなくただの無職者ではないか等と主張し、休業損害も後遺障害逸失利益も0円と言い張ってきた。依頼者自身でで交通事故紛争処理センターにあっせん手続の申立てを試みるも、あっせん委員の先生も親身には動いてくれず、相場について聞いても、「あなたの損害額をまず主張して下さい」と言われ対応に悩んでいる。
解決への流れ
既に交通事故紛争処理センターにあっせん手続の申立てをされていたため、ご依頼を受け、あっせん手続に申立代理人として加わることになりました。あっせん手続では、裁判基準で計算したこちらの主張する損害額を提示するとともに、ご依頼者様が専業主夫であることを示す資料として、住民票、ご依頼者様と奥様の所得証明書、奥様の給与明細書とともに、奥様の陳述書を提出しました。結果として、ご依頼者様が専業主夫であることを前提にしたあっせん案が提示され、双方がこれを受け入れ、解決しました。
会社や担当者にもよるのでしょうが、任意保険会社は、任意の交渉では専業主夫性をなかなか認めようとしないという印象があります。このため、交通事故紛争処理センターのあっせん手続を活用するというのは一つの方法です。ただ、専業主夫であることをあっせん委員に理解・納得してもらうためには、事故前の生活状況についての具体的な陳述書や、配偶者の方の収入を証する資料の提出などが必須になるでしょう。陳述書は、弁護士の方で詳細に聴き取り、文案を作成し、内容に間違いがないかご確認頂いた上で署名捺印いただく、という方法で作成しました。なお、あっせん委員はあくまでも中立の立場であるため、この事件での損害賠償額の相場は何円くらいかといった被害者側からの質問にはなかなか答えにくいものがあります。このため、あっせん委員のご対応にも、やむを得ない面があったのかもしれませんが、弁護士に依頼いただくことで、適切な内容で対応することが可能です。