この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
被害者は高齢の方で、事故後意識不明状態となり、いわゆる植物状態となりました。事故直後からご家族から対応依頼があり、事故対応一般に対するアドバイス、民事上の賠償請求について対応を行うこととしました。
解決への流れ
まずは、加害者の刑事裁判が終了するまでの対応をサポートいたしました。被害者参加制度の利用はいたしませんでしたが、捜査機関への対応や加害者への対応についてのアドバイスを行い、刑事裁判傍聴に同行し、判決結果に対する説明を行いました。その後、後遺障害等級認定手続きをサポートし、遷延性意識障害の回復見込みなしとし、後遺障害等級1級1号が認定されました。認定結果を受けて、訴訟による解決を目指すこととし、意思表明ができない本人に変わって訴訟をする意思表明をいただくために、成年後見を申し立て、成年後見人の選任手続きを行いました。その後、訴訟提起の上、訴訟対応を行いました。訴訟では、加害者側から被害者の余命に関する反論や付添看護料を否定する主張がなされ、強く争われましたが、最終的には、総額1億円の賠償金を獲得し、解決となりました。
重度後遺障害事案では、ご家族のサポートも重要であり、対応のアドバイスや利用可能な制度をお伝えすることで、法律関係に留まらない対応を心がけました。また、賠償額の面で言えば、高齢者であることや病院での看護が予定されていたことから、賠償額の低額化が懸念されましたが、訴訟での詳細な主張に務めた結果、最終的には総額1億円での解決となりました。こうした事案に触れて思うのは、日本の法制度に照らして、民事上可能なのは、賠償金の獲得になるのですが、いくら賠償金を獲得しても、被害者本人やご家族の日常が戻ってくるわけではないということです。加害者への賠償請求に全力を尽くすことはもちろんですが、被害者本人、ご家族に寄り添った対応に今後も努めて参りたいと考えております。