犯罪・刑事事件の解決事例
#遺言

借名口座を有する父が遺言を作成した事例

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中村 傑 弁護士が解決
所属事務所弁護士法人虎ノ門スクウェア法律事務所
所在地東京都 港区

この事例の依頼主

80代以上 男性

相談前の状況

母親から、何かと不合理な理由をつけて訴訟提起をする長男に対し、遺産を渡したくない、長女と次女に全ての遺産を渡したいとして、相談があった。母の遺産としては、①資産管理会社の株式、②自宅不動産、③預貯金があった。長女、次女、長男の法定相続分は3分の1、遺留分は6分の1である。

解決への流れ

上記事情からすれば、次男名義の預金であっても、父の遺産として、民法上も相続税法上も取り扱われるものであった。父の希望に従い、父存命中に、長男と次男の間で、父死亡後に備えて遺産分割協議書を作成することが出来れば紛争の解決につながるのであるが、被相続人存命中に作成された遺産分割協議書は効力を有しない。そこで、父親に対しては、次男名義の預金も遺産に含めた形で、遺言書を作成することを勧め、実際作成した。ただ、実際相続発生後、次男が次男名義の預金の遺産は自分の預金であり遺産ではないと争いとなることも危惧された。その為、次男名義の預金が形成された事情について、証拠を集めた上で、その事情について、父の陳述書を作成し、公証役場で認証を得た。この認証は、陳述書の内容は父の意思に沿うものであることを証明する行為である。更に念の為、父に対してインタビューする様子を動画撮影した。父死亡後、次男も、次男名義の預金について、遺産として扱うことについて納得し、紛争とならなかった。

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中村 傑 弁護士からのコメント

父が子名義で預金口座を開設し、通帳を父が保管し、入出金も管理をするといった事例は多いが、かかる預金は名義の如何に拘わらず、父の遺産として扱われる。この場合、相続税の対象となるか否かで争われることが多いが、本件では、遺産分割の対象となる遺産か否かとして紛争になることが危惧された事例である。預金に限らず、被相続人と法定相続人間の金銭の貸借などについても、相続時に争いとなることが多い。このような案件の場合、一当事者である被相続人が亡くなっているので、真相が明らかとならないことも多い。被相続人としては、遺言を作成するのみならず、その他の資料などを整理し、遺産の範囲について紛争が生じないよう、しっかりとした証拠を残しておくことが紛争の芽を摘むことになる。