犯罪・刑事事件の解決事例
#自己破産

【自己破産】家族に内緒で二度目の破産をした事例。

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神山 公仁彦 弁護士が解決
所属事務所梅ヶ枝町法律事務所
所在地大阪府 大阪市北区

この事例の依頼主

40代 女性

相談前の状況

ご相談者A子さんは、10年ほど前に自己破産をして免責を受けました。そのときは、A子さんは家族に相談して破産申立費用を出してもらったのですが、借金を作ったことで家族からいろいろと言われたことが心に残っていました。その後、A子さんは家族と同居しながら派遣社員(手取月額8万円程度)として働いていたのですが、生活費の不足分を補うためにまた借金をするようになり、負債総額は180万円近くになってしまいました。A子さんは、何とか借金を整理したいということで相談に来られました。ご相談に来られた際、A子さんは、前に一度破産をしていたので2度目の破産はできないと思い込んでおり、また、負債のことを家族に知られたくなかったので、当初は任意整理を希望していました。しかしながら、任意整理の場合、A子さんの負債総額からすると月4万円程度の弁済資金が必要になると考えられ、A子さんの月8万円程度の手取収入からすると、任意整理を行うことは難しそうでした。そこで、A子さんには、免責許可決定の確定から7年以内に改めて免責許可の申立てをすることは免責不許可事由となるが、A子さんの場合は、破産免責を受けたのは10年も前になるので、この事由には当たらず、改めて破産免責を受けることは可能であることをご説明しました。また、負債整理の方法としては、任意整理と自己破産以外に個人再生があり、個人再生であれば、A子さんの負債総額は100万円に圧縮され、それを原則3年間で返済することになるので、月々の弁済資金として必要な額は3万円弱になる旨をご説明しました。A子さんとしては、やはり2度目の破産には抵抗があったようであり、月々の収入をもう2~3万円でも増やすよう努力するので、何とか個人再生で負債処理をしてほしいと私に依頼されました。また、家族には内緒で手続きを進めてほしいというのがA子さんの強い希望でした。

解決への流れ

早速各債権者に個人再生の申立手続きを受任した旨の受任通知(介入通知)を送付し、それでA子さんに対する各債権者からの請求は止まりました。そして、同時並行で、法テラスの代理援助制度の申込み手続きを行いました(法テラスの代理援助制度を利用する場合、申込みから審査を経て決定が下りるまでに2~3週間程度の期間をみる必要があります。法テラスの審査結果を待って受任事件に着手する弁護士も多いようです。)。個人再生を行う場合、弁済資金を毎月積み立てて実績を作り、裁判所に申立て後に、裁判所にその積立て実績を報告する必要があります。そこで、A子さんには、2~3ヵ月後位から弁済資金として見込まれる3万円を弁済資金積立用口座(「A子代理人弁護士神山公仁彦」名義)に振り込んで積み立てるよう指示しました。しかしながら、A子さんの当初の思惑どおりには収入を上げることはできず、また、負債整理のことを家族に内緒にしていることから、弁済資金の積立てについて家族の協力を得ることもできない状態でした。私からは、A子さんに、家族に相談して協力を仰いではどうかとお話ししましたが、どうしてもそれはできないとのことでした。そこで、急遽、負債整理の方針を個人再生から自己破産に変更し、各債権者に方針変更の通知を発送するとともに、法テラスにも方針変更の上申を行いました。その後は、早急に破産申立てに向けて準備を進めていきました(A子さんのご家族には破産をすることは内緒ですので、A子さんとのやり取りは、面談による打合せ以外は主にメールで行い、A子さんへの郵便物の送付も「郵便局留め」によりました。)。こうして、方針変更から約1ヵ月後に裁判所に破産申立てを行い、破産開始決定を経て、その約2ヵ月後には無事に免責決定を得ることができました。

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神山 公仁彦 弁護士からのコメント

負債整理のご相談を受けていると、過去に一度破産免責を受けていて、2度目の破産はできないと思い込んでいるご相談者がいらっしゃいます。この点、免責許可決定の確定から7年以内に改めて免責許可の申立てをすることは免責不許可事由となりますが、前回の免責許可決定の確定から7年を超えていれば、免責不許可事由には当たりませんので、2度目の破産免責を受けることは法的には可能です。ただし、今回の負債を作った原因の一部に、浪費やギャンブルなどの免責不許可事由が含まれている場合、裁判所は、反省文や家計簿を作成・提出させたり、審尋(裁判官による事情聴取)を実施した上で裁量免責をするかどうかの判断をすることが多いですが、その際に、2度目の破産申立てであるという事実が不利な事情として斟酌される可能性はあります。次に、負債整理のご相談を受けていると、家族(両親や配偶者など)に借金のことを内緒にしておきたいとの要望がご相談者から出されることが時々あります。この点、任意整理や個人再生では、毎月一定額の弁済資金の準備が必要であり、家族の協力なしにそれができるのかが問題となります。また、自己破産や個人再生は、裁判所の手続きであり、申立書には一定の添付資料の提出が求められます。ここでは、居住関係の資料、家族の収入資料、公共料金の領収書など裁判所の要求する資料が家族の協力なしに入手できるのかが問題となります。借金のことを家族に内緒にしておきたいとのご相談者のご要望には、できるだけ沿えるよう配慮はいたしますが、各事案の状況によっては、それにも限界がありますことはご理解いただきたいと思います。