この事例の依頼主
50代 女性
相談前の状況
ご相談者のA子さんは、自転車で通勤途中、信号機のない交差点を左折進行してきたタクシーに衝突されて転倒し、右足関節を骨折しました。その後、約2ヵ月間の入院と約10ヵ月間の通院で症状固定し、後遺障害として右足関節等の可動域制限が残りました。そして、この後遺障害に関しては、自賠責保険で10級、労災保険で8級の等級認定を受けました。この間、タクシー会社の事故担当者がA子さんの入院中に一度病院に見舞いに来ただけで、損害賠償に関する交渉は一切放置されていました。そこで、その後の処理について、A子さんから依頼を受けました。
解決への流れ
早速、タクシー会社とタクシー運転手を被告として、地方裁判所に損害賠償請求訴訟を提起しました。訴訟では、①過失相殺、②後遺障害の程度、③逸失利益が主な争点となりました。そして、判決は、被告側からの過失相殺の主張を認めませんでした。後遺障害の程度に関しては、労災保険で認定された8級相当を主張しましたが、残念ながら、自賠責保険で認定されたの10級該当との判断が下されました。逸失利益に関しては、看護師をしていたA子さんは事故前と比べて減収が全く生じていませんでしたが、A子さんが後遺障害によって日常生活や仕事の上で不自由を強いられていることや事故前と比べて出来なくなった業務が一部あることを丁寧に主張・立証しました。その結果、労働能力喪失期間(67歳)まで20%の労働能力喪失による逸失利益損害が認められました。
後遺障害の程度について、自賠責保険(10級)と労災保険(8級)の等級認定に差異があった事案ですが、残念ながら、判決は自賠責保険の認定に従った判断をしました。ただ、被告側の過失相殺の主張が排斥されたことや、減収がないにもかかわらず逸失利益が認められたことで、ご相談者にはたいへん満足をしていただけました。