この事例の依頼主
40代 女性
「夫がある日突然家を出て行方不明になってしまいました。夫は浪費家で、今私と子どもが暮らしている自宅の所有権を除いては、主だった財産はありません。このままだとどこか私たちの知らないところで勝手に家を処分してしまい、私たちの家がなくなってしまうかもしれず、毎日不安に苛まれています。」とのご相談でした。初めてお会いした際、大変焦燥されている様子であったことが記憶に残っています。
まずは急ぎ、夫が勝手に家を処分してしまわないように、財産分与請求権を保全する仮処分の申立てを行い、それを裁判所に認めてもらいました。そのうえで、行方不明であることを第一の理由、浪費家で家計を圧迫していたことを副次的な理由とする離婚訴訟を提起し、その中でお子様の養育費、そして夫が有する自宅の所有権全てを財産分与するよう求めました。財産分与は、本来は夫婦『双方』の個人名義の資産を『折半』するという処理方法が採られます。ご依頼者様は夫が浪費家である分、ご自身は堅実に貯蓄をされておられました。そのため、このまま行くとそれが仇になってしまい、自宅不動産の半分はおろか、その自宅不動産の価値と他のご依頼者様名義の資産を足して折半した分しか分与を受けられないということになってしまいます。そこで、私は、ご依頼者様のご協力をいただき、行方不明になるまでの経緯やその他夫の婚姻関係に対する問題点を具体的に把握し、このケースでは自宅の全ての分与を受けなければご依頼者様は浮かばれないこと、正義に反するということを弾力的に主張しました。結果として、ご依頼者様が自宅所有権の全ての財産分与を受けられる判決を獲得でき、ご依頼者様やお子様の自宅を、ひいてはその上に築かれている穏やかな日常を守ることができました。
このケースのように、相手が行方不明であっても、一般的な水準以上の財産分与を求めざるを得なくても、適切な法的手段を選択し、必要な活動を行うことで結果が得られるケースは数多ございます。諦めてしまう前に、弁護士石田千明までご相談ください。