この事例の依頼主
60代
相談前の状況
何十年も前、父親の代から貸している土地があります。立っている建物が老朽化しており、近隣から危ないと苦情が出ています。これを機に、建物を取り壊して、土地を明け渡して欲しいと思っています。ところが、借主からは、立退料を支払え等と言われて、土地の明渡に応じてくれません。どうにからないでしょうか。
解決への流れ
かなり古い賃貸借契約でしたが、契約書が残っていました。現在の借地借家法ではなく、借地法が適用される時代の契約でした。契約期間を確認したところ、契約期間満了の時期はまだかなり先でした。借地法では、建物が老朽化した場合には、契約期間満了前に契約が終了するとされています。これを一つの交渉材料に、借主と明渡交渉を行いました。何度も、借主のところに直接出向いて、粘り強く交渉しました。最終的に、建物は地主が解体すること、引っ越し費用を借主に支払うことを条件に、土地の明渡について合意ができました。
裁判は解決方法の一つに過ぎません。どうしても、裁判は時間がかかります。今回のように、早期に建物を解体する必要がある場合、裁判が終わるまで待てない場合もあります。また、裁判の場合、臨機応変な解決ができない場合があります。交渉の場合、臨機応変かつ早期の解決が可能な場合があります。法律の原則はおさえつつ、貸主・借主双方が歩み寄れるのであれば、交渉は有効な解決手段となります。今回は、期間満了前でも土地を明渡してもらう必要があること、多額の立退料を支払う必要はないことを説明し、最終的に、土地の明渡に応じてもらうことができました。最初は、ご自身で交渉されることも多いと思いますが、弁護士に依頼することで話し合いが進むことがありますので、一度ご相談ください。