この事例の依頼主
40代 男性
相談者様は、直進道路を走行中に、左方道路から進行してきた車両と衝突し、車両の修理費用についての損害を負いました。しかし、相手方が任意保険会社に加入しておらず、本人に直接賠償を求めなければならなくなりましたが、いくら電話をかけても相手方は一切電話に出ずに、相談者様はなかなか賠償を受けられませんでした。そこで、相談者様は、相手方との連絡に行き詰った状況をどうすればよいか、自己の任意保険会社に相談したところ、相談者様は弁護士費用保険特約に加入していたので、当事務所に相談をすることとなりました。当事務所との面談時、相談内容を聞いた弁護士は、すぐに相談者様の任意保険会社に連絡を取り、相手方とのやりとりの中で、相手方の就業先等の情報を得ていないか確認したところ、偶然にも保険会社が相手方の就業先を知っていたため、担当弁護士は、判決を取得すれば、相手方の給与に対して、差押えをすることができることを説明しました。相談者様は、すぐにでも賠償を受けたいとの意向であったため、判決を取得し、強制執行手続きまで行う内容で、当事務所が依頼を受けることとなりました。
差押えを行うためには、①訴訟にて判決を得る事、②得た判決に基づいて強制執行の申立てを行う事、の2段階が必要であり、時間がかかるため、依頼を受けた弁護士はすぐさま訴訟提起の準備を行いました。併せて、弁護士は相手方に対しても直接電話をして、任意の支払を促そうとしましたが、弁護士から電話をしても相手方が電話に出る事はありませんでした。その後、訴訟提起を行い、裁判所から相手方に対して訴状等が送達されましたが、相手方は裁判所にも出頭せず、一度の審理で判決を得ることができました。判決を得た後、弁護士はすぐさま強制執行の申立て準備を進め、相手方の就業先に対して、給与債権を差し押さえる申立てを裁判所に提起しました。給与債権の場合、一度に給与全額を差し押さえられるわけではなく、一月の給料のうち4分の1~8分の1が差押え可能な額となるので、数ヶ月を要しましたが、最終的には修理費用全てを差し押さえることにより回収する事に成功しました。
加害者が任意保険会社に加入していない場合、被害者が適切な賠償を受けるためには、加害者本人に賠償を求めることになります。しかし、加害者の中には、いきなり音信不通になる加害者もいるため、被害者の方が賠償を受けられないというケースも珍しくありません。その際に、加害者の就業先が分かっていれば、加害者の月々の給料に対して差押えをかけ、賠償金額に充当するまで強制的に取り立てるという手段が取れます。この相談者様の場合、加害者の就業先がたまたま分かったため、結果的に適切な賠償を受けることができましたが、それでも、判決を得、強制執行の申立てが完了するまでは、早くとも2~3か月を要するため、迅速な訴訟対応が求められます。