15857.jpg
パワハラ上司だけど「太鼓持ち」で出世街道…阻止するための「ハイブリッド作戦」
2018年02月19日 10時03分

上司によるパワーハラスメントによって、ストレスを抱え、精神疾患を患ったり、最悪の場合には自殺してしまったりする人もいる。そうした上司に限って、お偉いさんに対しては人が変わったように低姿勢を取り、「太鼓持ち」に撤する。こんな指摘がSNSで散見される。

部下を過剰に叱責する音声記録や被害者の証言、メールなどの証拠があればパワハラだと会社に申し出て認められる可能性は高いのかもしれない。ただ、社内である以上、その上司がもみ消しに動くことも考えられる。お偉いさんの太鼓持ちに徹した効果が出る形だ。

こういったパワハラ上司が昇進していけば、管理する部下の人数は増え、さらに「被害者」が増える懸念もある。働きやすい環境を求める社員たちが、パワハラ上司のこの先の出世を阻止する合法的な手段は何かないのか。労働問題に詳しい河村健夫弁護士に聞いた。

上司によるパワーハラスメントによって、ストレスを抱え、精神疾患を患ったり、最悪の場合には自殺してしまったりする人もいる。そうした上司に限って、お偉いさんに対しては人が変わったように低姿勢を取り、「太鼓持ち」に撤する。こんな指摘がSNSで散見される。

部下を過剰に叱責する音声記録や被害者の証言、メールなどの証拠があればパワハラだと会社に申し出て認められる可能性は高いのかもしれない。ただ、社内である以上、その上司がもみ消しに動くことも考えられる。お偉いさんの太鼓持ちに徹した効果が出る形だ。

こういったパワハラ上司が昇進していけば、管理する部下の人数は増え、さらに「被害者」が増える懸念もある。働きやすい環境を求める社員たちが、パワハラ上司のこの先の出世を阻止する合法的な手段は何かないのか。労働問題に詳しい河村健夫弁護士に聞いた。

●お勧めは第三者へのパワハラ報告メール

ーーパワハラはどんな準備をして告発したらいいでしょうか

「まずは、証拠集めが大切です。パワハラの典型例である『暴言』などの証拠を、言い逃れを許さない形で集めます。録音などが出来れば最高です。小型ICレコーダーを準備し、始業前に胸ポケットに入れて録音をスタート。暴言なしの日は録音データを消せば大丈夫です。

録音ができない環境であれば、パワハラの事実を発生当日に記録化することが重要です。手帳や日記へのメモでも良いですが、おすすめは『第三者』にパワハラ事実を報告するメールを送信することです」

●告発はできるだけ複数で

ーーどのように告発をすれば認められやすいでしょうか

「告発は、可能な限り複数で行いましょう。1人での告発はリスクを伴います。告発に際しては録音などの証拠を一部引用し、(1)パワハラは生産性を損ない会社にとっても損失であり、(2)パワハラを放置すれば会社が従業員に保障すべき『職場環境配慮義務』に違反することになる、と淡々と指摘することです。

告発先は人事担当部門など、なるべくパワハラ上司と繋がらないラインを選びます。まともな会社であれば、その後調査が実施され、パワハラが認定された上司は懲戒等の処分を受けることになります」

●労働組合による団体交渉と裁判とのハイブリッド作戦が有効

ーー会社の対応が鈍く、残念なことに見逃すことも考えられます

「会社の対応が鈍くパワハラ上司が処罰されないときには、パワハラ上司と放置した会社を相手に裁判を起こします。これで事件の隠蔽は不可能になります。

もっとも、会社相手に裁判をするのは相当の思い切りが必要です。そこで、労働組合に加入の上(信頼できる労働組合がない場合には、個人加盟の労働組合があります)、労働組合による団体交渉と弁護士による裁判を組み合わせます」

ーー裁判だけでは不十分なのですか

「パワハラでは、既に退職した方が『裁判をやって勝ちたい』と相談に来られることが多いのですが、裁判だけでは成果は少ないです。パワハラやセクハラなどの職場環境配慮義務のケースでは労働組合との『ハイブリッド作戦』が極めて有効です。パワハラに悩んでいる方は退職前に、一度その作戦を考えてみると良いと思います」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る